HinT table 03

開催日時:2020年10月31日(土)20時-22時

場所:Zoom

参加メンバー(五十音順):大橋香奈、小島和子、髙山伸夫、田中翔貴、鄭禹晨、染谷めい、ピッチャー・スパンタリダー

記録:大橋香奈

いつも通り、「チェックイン(出席確認をかねて、会の冒頭で全員が一つの「お題」に答える)」からスタート。今日のお題は、私から提案しました。「最近、グローバルを感じた身近な出来事」。印象的だったのは、帰省中で台湾から参加してくれた鄭さんの話。コロナ前は2,3ヶ月に一度は帰っていたのに、コロナが始まってからずっと帰れず、半年以上ぶりの台湾とのことでした。滞在中のアパートのエレベーターに、ゴミ捨ての説明の紙が貼られていて、6か国語で表記されているのを見て「グローバル」を感じたと話してくれました。前回の帰省の時にはそこまで多くの言語に対応していなかったので、介護や家事の手伝いで働くために移住してきたヘルパーさんたちの出身国がここ数ヶ月で多様化したのかなと、急速な変化を感じたいうことでした。そのほかの参加者のみなさんからは、自宅近くや、近所の商店街を歩いていて聞こえてくる言語が多言語になったことや、ケータイショップの店員さんが外国人だったことなどが、グローバルを感じた身近な出来事として紹介されました。

チェックインの後、この日のメイン、ヌイ(ピッチャー・スパンタリダー)が大学の卒業プロジェクトとして制作した映像作品『Under the Same Roof:
a personal documentary』の上映会を実施しました。プロジェクトの詳細は、ヌイのウェブサイトで見ることができます。

  • ピッチャー・スパンタリダー『Under the Same Roof: a personal documentary』
    ヌイは、2016年に留学のためタイから日本に引っ越してきました。実家から遠く離れて異なる文化に身をおいたことで、それまであたりまえだと思ってきたタイでの生活を、とらえなおすようになったと言います。家族で会社を経営しているヌイの実家には、子どもの頃から「お手伝いさん」たちがいました。家族のように近くにいながら、家族とは違う存在として、タイの実家での生活を支えてくれていた人びとのことを想い、ヌイは卒業プロジェクト『Under the Same Roof: a personal documentary』に取り組みました。

    この作品をつくる過程で、ヌイは留学で一度離れた実家に戻り、家族と家族をとりまく人びとを対象にした「参与観察」を数ヶ月間かけて行いました。人類学や社会学のフィールドワークで行われる「参与観察」は、一般的には、自分がそれまであまり関わったことのなかった人びとの生活の現場を対象とすることが多いですが、ヌイの場合は、自分の実家が対象でした。ヌイは、自分とともに「Under the Same Roof(一つ屋根の下)」で生きてきた人びとの関係についてあらあためて考え、映像作品として描き出しました。彼女のリサーチのプロセスは、たびたび共有してもらっていたし、私は既に一度作品を観たことがありましたが、あらためて今回観てもひきつけられ、心を動かされました。冒頭の「チェックイン」の時の鄭さんの話題ともリンクして、作品をみんなで観た後のヌイとのディスカッションも盛り上がりました。